第二列伝

白瀬 寛治

しらせ かんじ

『鮨と季節』主宰

寿司・日本料理 金沢・富山・京都

北陸の四季を、鮨で記す元新聞記者。

第二の列伝に記すのは、ブログ「鮨と季節」を主宰する白瀬寛治である。昭和三十一年、富山県氷見の生まれ。漁師町に育ち、朝の魚市場が遊び場だった。金沢の大学を出て地方紙に入り、三十二年間、記者として北陸の海べりを歩いた。

定年を迎えた春、退職の挨拶状の代わりに始めたのが「鮨と季節」である。いわゆるグルメブログとは趣を異にする。彼が書くのは星の数ではなく、暦だ。寒鰤はいつから旨いのか。白海老の漁はいつ始まり、いつ終わるのか。鮨を入り口に、北陸の海と季節そのものを記録していく。

記者時代に培った取材力は健在で、職人への聞き書きの深さは群を抜く。ネタの仕入れ先、酢飯の塩梅、店ごとの仕事の違い。本人いわく「鮨は記事と同じで、裏取りが九割」。匿名の覆面取材はしない。名乗り、許しを得て、一貫の背後にある手仕事を確かな文章で起こしていく。

派手さはない。写真も決して上手いとは言えない。それでも彼の記事が読み継がれるのは、書かれた言葉のすべてが、自分の足と耳で確かめたものだからだ。金沢・富山を中心に実食はおよそ二百八十店。閉じる店があると聞けば、誰より先に駆けつけて、最後の仕事を記録する。

鞄の中は、記者時代から使い続ける取材手帳と、孫に貰った古いコンパクトカメラ。原稿は今も手書きで起こしてから打ち直す。「金沢の鮨を知りたければ、まず白瀬を読め」──地元の同業者すらそう言う書き手は、今日も市場の競りの時間に合わせて目を覚ます。

屋号
『鮨と季節』
得意ジャンル
寿司・日本料理
活動地域
金沢・富山・京都
主な発信
ブログ「鮨と季節」/Instagram

この食客の特徴

  • 一、元地方紙記者。三十二年の取材経験に裏打ちされた聞き書き
  • 一、季節・漁・仕入れから書き起こす「暦の食記録」
  • 一、金沢・富山を中心に約二百八十店を実食
  • 一、職人への敬意を貫き、匿名の覆面取材は行わない流儀

編集部おすすめの記事

寒鰤前線を追って ── 氷見、十二月 鰤が最も旨くなる一週間を見極めようとする渾身の記録。生まれ故郷の海への、これは恋文でもある。 記事準備中
白海老の店仕舞い 閉店を決めた老舗との最後の対話。元記者の筆が冴える、静かな名文として読み継がれる一篇。 記事準備中
酢飯考 ── 赤酢と米酢のあいだ 北陸の鮨はなぜ米酢なのか。北前船の歴史から解き明かす、連載屈指の人気記事。 記事準備中
編集部より

文章の端々に記者の矜持が残る。流行を追わず、消えゆくものから先に記録する姿勢は、本誌の理想とするところでもある。

この食客を読む

ブログ「鮨と季節」準備中 Instagram準備中

他の食客も読む